Swiss-Manager 不完全マニュアル

はじめに

この記事はチェスペアリングソフトである Swiss-Manager (スイスマネージャ―)の最低限の使い方について解説する。

「不完全」と銘打っている通り、使い方を網羅的に解説するものではなく、神奈川ラピッドチェス選手権2023のような一般的なスイス式大会向けの設定、勝敗の入力、結果の出力で必要な操作のみ解説する。

網羅的ではないが書いている内容は正しいと思って書いており、間違いがあればメールやTwitter等を通して指摘頂けると幸いである。

ただ、内容の信ぴょう性を確実に保証するものではないため、正確な情報を知りたい方は本家の公式ドキュメントを参照願いたい。

環境構築

  1. Swiss-Manager を購入ページより購入し、アクティベーションコードを取得する
  2. Swiss-Manager Unicode Version for Windows 7 and newer インストールウィザードをダウンロードし、実行する
  3. Swiss-Manager を立ち上げ、アクティベーションコードを入力する

大会の設定

大会ファイルの作成

1. スイスマネージャ―を立ち上げる

2. リボンの File -> New tournament を押す

3. 大会形式を「Swiss System」と選択する

4. 大会ファイルの保存先を指定するウィンドウが自動的に出てくるので、任意のパスを指定する

大会設定の入力

1. 大会ファイルを作成した後に出てくる Tournament Data Dialog (Swiss System) ウィンドウを見る

参考

自動的にウィンドウが出てこない場合、リボン Input -> Set up tournament を押す

2. General タブの各欄を開き、各項目を適切に記入し、OK ボタンを押す

参考
  • 項目が多く間違えや漏れが起きやすいので、全ての欄を指差しで確認すると良い
    • 特に Points for the by Player は忘れがちなので気をつけることに
  • OK ボタンを押さないと保存されないことがある

3. Tiebreaks タブを開き、適切なタイブレイクを記入する

参考
  • ウィンド下部のリストにあるタイブレイクが上から順番に大会へ適用される
    • リストに追加済みのタイブレイクの順番を変える場合、変えたいタイブレイクをクリックしたのち「Line -1」や「Line +1」を押すことで調整できる
  • Buchholz は、パラメタ値を設定できる
    • 例えば、Buchholz Cut1 は Best result=0, Worst result=1 を設定する
    • For unplayed game は 「Calculate as a game against a virtual opponent」を選択するのが一般的な FIDE rule である
      • 引用: For tie-break purposes a player who has no opponent will be considered as having played against a virtual opponent who has the same number of points at the beginning of the round and who draws in all the following rounds. For the round itself the result by forfeit will be considered as a normal result.
  • Tie-Break は開催者自身が誤解していたり知らなかったりするルールの存在が十分考えられる。FIDE のタイブレイクルールを一読しておくことを強く推奨する
    • 入賞にタイブレイクが絡むと、参加者からタイブレイクの計算方法に疑義があると主張を受けることがある。その際になぜその結果になったのかその場で説明できるないとトラブルに繋がることがある
    • 特に(執筆者感性的に)間違えやすい点は以下である
      • Direct Encounter が適用されるのは、同ポイントグループの選手が全員お互い対局済みの場合のみ
      • 対局が無かったゲームについては、virtual opponent という常に対局結果がドローとなる相手と対局したものとみなす
        • 例えば、途中で大会を去った人がいた場合に、その人と対局した選手の Buchholz 等が不利になることを避けるためのルール
      • Buchholz Cut 1 は、対局相手の最も悪いスコア「のみ」を除く
        • 最も良いスコアと最も悪いスコアを「共に」除くのは Buchholz Median である
  • 万が一 Tie-Break 設定を間違えてしまった場合でも、途中から修正することは可能である
    • 修正した場合、修正した時点から全ラウンドの結果が修正後のタイブレーク設定の結果に置き換わる

4. Other タブを開き、以下の画像の通り設定し、OKを押す。

参考
  • 「Allow input of special results」は、特殊な値を入力する必要に迫られた時に有効化すれば良い
  • 「Enter results for excluded players/teams」は、対局の無かったプレイヤーの結果を手動で入力することを意味する
    • 例えば事前申告 bye と退場処分としてプレイヤーそれぞれに違ったスコアを付与できる
  • 「Sort pairing lists」はマニュアルでペアリングを修正した場合などに、自動的にリストをソースする機能である
    • 有効化する積極的理由はペアリング出力の見た目だけだと思われ、マニュアルで編集した箇所が分からなくなるリスクを考えると無効化しておくのが無難である
  • Database Key は大会ごとにユニークな値であり、chess-results への初回アップロード時に自動的に決定される
    • この値は秘密にする必要はなく、chess-results 上のその大会ページのアクセス URL にも使用されている
  • OK ボタンを押さないと保存されないことがある

5. 現在開いているはずのTournament Data Dialog (Swiss System) ウィンドウを閉じる

参考

他のタブは特に設定すべきものはないが、参考として設定値を以下画像として残す

参考
  • Lists タブにて、Category Prize list の設定が可能
    • レーティング別(いわゆる A, B クラス)
    • Best female
    • Best rank improvement (いわゆる敢闘賞)
    • など
  • Category Prize list については手動で求めるという運用で設定の回避も可能
    • (筆者は最近までこの存在を知らず、手動で求めていた。よって本機能は使用したことが無いため、詳細については本家ドキュメント参照のこと)

参加選手の入力

1. リボンの Input -> Update players を押す

2. 下部やや左の「Input Manually」を押す

3. 参加者を一人ずつ入力する

参考
  • 入力した補足情報(e.g. Group, Club) は chess-results でも表示ができる
  • 参加選手の入力時、レーティングリストのファイルをインポートすることで、選手をリストから選択したりレーティング値が自動的に設定される等の入力の負担やミスを軽減する機能が Swiss Manager にはある。しかし、NCS のレーティングリストは Swiss Manager のサポートする形式ではないため、この機能は使えない。

4. リボンの Input -> Resort starting rank list を押す

参考
  • この手順を行わないと、誤ったペアリングが発生することがある
    • 何度かに分けて選手を入力した、途中で追加した等の場合に起こりうる

ペアリングの組み方

bye プレイヤーの設定

1. リボンの Pairing-> Exclude Player を押す

2. bye を設定する選手をクリックする

3. bye を設定し、OK ボタンを押す

参考
  • 既に終了したラウンドは設定を更新できない
  • OK ボタンを押さないと保存されないことがある

4. OK ボタンを押す

参考
  • OK ボタンを押さないと保存されないことがある

コンピューターペアリング

1. リボンの Pairing-> Computer parinings を押す

2. 左側表示される、今ラウンドがbyeである選手が正しいことを確認する

3. 右側の一番上のチェックボックスが「FIDE (JaVaFo engine, www.rrweb.org/javafo) local」となっていることを確認する

参考
  • 「FIDE (JaVaFo engine, www.rrweb.org/javafo) chess-resuls.com」を選択することで、オンラインサーバー上でペアリングを組める
    • local PC に Java がインストールされていなくてもペアリングを組めるというメリットがある
    • インターネット接続環境が必要である
    • その他にどのような特徴があるか未検証のため、local を使うのが無難

4. Start を押し、左側に “Pairing Done” と出たら右下の OK を押す

ペアリングの確認

1. リボンの Lists-> Pairings を押す

ペアリングの修正

参考
  • 参加者の誤りにより、公表したペアリングと違う組み合わせで対局が行われた場合等に利用する
  • 対局相手は正しいが白番黒番が誤って逆で対局がスタートした場合、FIDE rule に従うならば、基本的にはやり直し等は行わずそのままプレイし、ペアリングを修正して実際の対局した色と一致させる
    • 参考: 7.2 If a game has begun with colours reversed then it shall continue, unless the arbiter rules otherwise.

1. リボンの Pairings -> Set new players を押す

2. ペアリングの修正を行う

対局結果の入力

1. リボン下の以下画像の赤枠で囲ったボタンを押す

2. 対局結果を入力する

参考
  • GUI 入力は、右上の ”1:0″ 等のボタンを使って入力できる
  • キーボード入力は、1が白勝ち、2がドロー、3が引き分けとして入力できる
    • 素早くテンポよく入力できることから、キーボード入力がおすすめである

結果の出力

Swiss-Manager

リボン下の以下赤枠で囲った部分が、”出力”関係のボタンである。適切なボタンを押すことで、出力物がウィンドウで表示される。

ボタン出力物
1.2.3.その時点での順位
1:0そのラウンドの対局結果
(その他)(未調査)

chess-results

1. インターネット接続があることを確認する

2. 以下画像の赤枠で囲ったボタンを押す

3. “UPLOAD OK” と表示されることを確認する

4. chess-results を開き、大会ページを表示し、結果を確認

参考

プリンター出力

1. リボンの File -> Printer setup を押す

2. 使用するプリンターに合わせて適切に設定する

3. 本ページの「結果の確認方法」 -> 「Swiss-Manager」を参考に、出力するものを画面上に表示する

4. (任意)出力形式の詳細設定をする場合、”print menu”ボタンを押し、適切な設定を行う

参考
  • 出力形式がおかしい場合(文字が重なるなど)、右下の “Defaults settings” を押して設定をデフォルト値に戻すことで直ることがある

5. Print ボタンを押す

参考
  • あとは自動的にプリンターから出力される
  • 出力されない場合、手順 2. の Printer setup の設定値に問題がある可能性がある

その他

  • 過去のラウンドのペアリングや対局結果訂正、結果の出力をしたい場合、リボンの Round から任意のラウンド時点へ一時的に戻って入出力ができる
  • 大会の設定時に、Lists タブからレーティング別の Category Prize (いわゆる A, B クラス)や女性賞、Best rank improvement (いわゆる敢闘賞)の設定が可能である
    • (筆者は使用したことが無いため、詳細については本家ドキュメント参照のこと)
  • 公開した chess-results の表示を変更/大会データを削除するには、Internet->Customize lists at Chess-Results.com を押す
    • ウェブブラウザで変更画面が開き、設定変更や大会データを削除できる
参考
  • (注意!) 削除は「Delete tournament」ボタンから行えるが、ボタンを押すと確認無しに即座に削除されてしまうため注意
  • 設定変更により、例えば選手のType, Group, Club 等を追加で表示することができる (参考例)
  • 削除した大会データを再度公開したい場合、大会設定(Input->Set up tournament, Otherタブ) のDatabase Key欄を一度空にしてから前述の方法で大会データをアップロードする必要がある
chess-results の大会設定変更/削除UI

参考文献

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